今回、ご紹介するのはFTMトランスジェンダーのBさん22歳です。

Bさんはタイ国籍です。生まれてから15歳まで日本で育ち、日本語はネイティブですし、日本文化が大好きなので、将来は日本で暮らし、働きたいと考えています。

タイと言えば、LGBTに理解があることで有名です。特にトランスジェンダーの手術については技術に関しても定評があり、日本からも手術を受けに行く人が多いです。

今回は、そんなBさんにタイのトランスジェンダー事情も含めてお話をお聞きしました。

私の両親は、タイ人ですが、日本でずっと働いています。私は日本で生まれて中学校まで日本の学校に行きました。
その後、タイのバンコクに引っ越して、タイで暮らしていました。

自分のセクシュアリティについては、小さいころから女性ではないという感覚はありました。両親は、日本でいう“女の子らしさ”をまったく強要しなかったので、自分で男の子っぽいものを自然に選らんでいて、小学校のころは、トランスジェンダーというのを自然に感じていたように思います。
自分の性自認を、はっきり認識したという感覚はあまりないです。むしろ両親が「この子はFTMだなー」っていう感覚でとらえていたんだと思います。
日本の学校ではボーイッシュな女子という感じで暮らしていました。
それに関しての生きにくさみたいなものはあんまり感じませんでした。

その後、タイに引っ越しました。バンコクでは本当にトランスジェンダーはたくさんいます。いるのが当たり前という感覚ですね。

日本でも別に、生きにくさはありませんでしたがトランスジェンダーということをカミングアウトをしていたわけではありません。タイではそれがカミングアウトをできるのでその点はより楽ですね。

私はFTMですが手術や戸籍変更は望んでいません。手術はお金もかかるし痛いので、あまりやりたくないです。自分らしい格好ができればいです。
タイにいるときは、男性っぽい服装を着ていますが、トイレは女性用に入っています。タイでは、FTMトランスジェンダーが女性用に入るのはそんなに違和感はないです。FTMというセクシュアリティが、一つの性別として理解されています。

セクシュアリティだけで言えば、タイのほうが生きやすいかもしれないけれど、私は日本の文化や生活が好きなので、日本で働きたいと思っています。

ちなみにBさんによると、タイではFTMは手術をあまりしないけれど、MTFは多くの人が手術をするそうです。

なぜかというと、徴兵制度があるからです。タイでは男性は徴兵(くじ引き)の義務があるのですが、検査で手術済みのトランスジェンダーであることが認められれば徴兵のくじ引き自体が免除されるそうです(徴兵の検査自体は受ける義務があります)。Bさんによると、タイのトランスジェンダーの技術水準は高いけど、FTMよりはMTFのほうが症例が多いので、技術がより高いそうです。

Bさんは日本生まれ日本育ちですが、ご両親の理解があったので日本にいるときもそれほどセクシュアリティでの生きにくさを感じなかったのかもしれません。