2015年くらいから急速に注目を集めだしたLGBTという言葉。2018年にもLGBT関連のニュースはたくさんありました。
ニュースを見るうえで大切なのは、どんなことがあったかということと同時にどんな報道されているかということもあります。

今回は、LGBTニュースの中から改めていくつかのトピックスをピックアップして、2018年を振り返ります。

国/自治体編

地方自治体のパートナーシップ制度は2015年の渋谷区と世田谷区がスタートですが、その後、伊賀市、宝塚市、那覇市、札幌市、福岡市がスタートし、2018年には大阪市、中野区でもスタートをしました。この9つの自治体の人口を合計すると約8,000,000万人になります。
来年度に導入予定といわれている自治体を考えると、来年度中には1千万人を超えて1500万人くらいの人口をカバーする可能性もあります。
国レベルでの同性婚やパートナーシップ制度というのはさすがにすぐには導入されないでしょうが、多くの人にとってパートナーシップ制度というのが多少は身近になり、そして同性婚に関しても、より本格的な議論をする時代になってくるんじゃないかと妄想しています。

自治体の動きでもう一つ大きかったのが東京都のLGBT差別禁止条例(2018年10月成立)です。正式には「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」といいます。これは2020年にオリンピックを開催する東京都が、オリンピック憲章に違反しないように作った条例で東京都、東京都民、東京の事業者に対してLGBTへの差別的取り扱いを禁止するというものです。罰則もないですし、差別の定義もあいまいです。
でも、首都東京での条例は、他の自治体へのインパクトはある気がします。来年度に向けて、より具体的な基本計画などが発表される予定なので、注目です!

国の動きでいえば、2018年4月から、性別適合手術が健康保険の対象になりました。これまでは自由診療で100%自己負担だったものが、保険適用になるというのは費用負担の面では大きな出来ごとです。まだ実際には制約がありこの保険適用が受けにくかったり、ホルモン治療が保険適用対象外などあるので、今後はそこらへんの手当が進むかと思います。

社会の動き

2018年1月にはあの広辞苑に「LGBT」という言葉が採録されました。またNHKや民放を問わず、LGBTをテーマにしたり、登場するドラマがいくつも放送され、身近に感じた人も増えたと思います。

そんな中で、社会的なインパクトが一番あったのが、杉田議員の「LGBTは生産性がない」発言です。その発言内容やそれに対する反論、反論の反論などがあり、自民党前での抗議行動などもありました。
いろいろな立場の人が、いろいろな意見をぶつけたわけですが、一時期は連日、この発言にまつわるニュースがテレビなどで放送されたこともあり、少なくともLGBTという言葉の認知は大きく広がりました。

これなどは、発言内容の問題は当然として、この時代だからこそ、大きく報道されたという部分が大きいかなと感じています。

企業編

企業の社内におけるLGBT取り組みに関しては、確実にかつ急速に増えてきています、僕の肌感覚でもそうですし、実際にPRIDE指標の応募企業数などをみても言えるかと思います。

一方で、いくつかの企業ではマーケティングにいかす取り組みが広がってきてはいます。一説には6兆円近くあるといわれているLGBTマーケット。ただ実際には売り上げを大きく増やすということに成功している企業はほとんどないのではないでしょうか。
これは、LGBTという対象をどうとらえるかという問題です。LGBTをひとまとめにするのであれば、その共通部分を抽出して、そのニーズにこたえるというサービスが必要になりますが、これはなかなか難しい。LGBTの共通点ってほとんどないのではないか、という気もします(ホントは少しはありますが、そこをニーズとしたサービスは難しい。)。

またLGBTをさらに細分化して、そこをターゲットにサービスを提供するというのも考えられますが、なかなかボリュームが大きくならないという課題があるのかなと思ってみています。
LGBT当事者が喜ぶもの、欲しいと思えるものを提供して売り上げがあがるのなら、みんなハッピーで良いことです。また売り上げがあがるというのは企業が取り組むインセンティブとしては非常に強力なのですが、まだまだここは難しいというのが現状です。

2019年はどんな年になるでしょう?
LGBTに関する社会の理解は増え、企業の取り組みが進むことは確かだと言えます。