PRIDE指標2020の発表がありました。今年で第5回を迎えたPRIDE指標では、233の企業団体が応募しました。2019年の194社より約20%増加しました。

このイベントがここまで継続し、かつ着実に参加企業数を増やし、LGBTの企業取組を評価する指標として定着してきたことはとても素晴らしいことだと思います。

 

そんな素晴らしいPRIDE指標だからこそ、次回以降に期待したいのは、認知をもっと広げていくということだと思います。LGBTに特別関心があるわけではない企業であれば人事・ダイバーシティ担当者でもPRIDE指標の認知度はまだかなり低いと思われます。またLGBT当事者でもPRIDE指標を知らないという人が多いのが現状です。

社会のLGBT理解を広げていくためにも、このような素晴らしい指標の認知度が上がることはとても大切だと思います。

 

また実際にLGBT取り組みを進めている企業の人事・ダイバーシティ担当者にとっては、どういう取り組みをすればいいのかというわかりやすい指標となっている一方で、どうしても測定が難しい風土面の取り組みに生かしにくいという声もあります。

最近、いくつかの企業のダイバーシティ担当者から、風土づくりのご相談を立て続けにいただいていたので、この風土面の取り組みを進めるうえで、PRIDE指標をどう活用するのが良いかを改めて考えてみました。

 

PRIDE指標の数ある評価項目の中で、風土面への影響が大きいものとしては第1に、行動宣言(P)の『経営トップが社内外に対し方針に言及している。』があります。

PRIDE指標に応募している企業のほとんどがこの項目をクリアしていますが、その内容は千差万別です。ほとんどの企業がピラミッド型であり、経営トップの意見や価値観が、企業風土を形作ります。特にオーナー企業であればその色は非常に濃くなります。だからこそ経営トップの本気のメッセージをどれだけ発信できるかが、風土面の取り組みではもっとも大事になります。社員数が多いと現場までの浸透は難しい面はありますが、それも含めて経営トップの姿勢と発信次第で、風土は変革していきます。

 

第2に当事者コミュニティ(R)の中の『アライを増やす、もしくは顕在化するための取組みを実施している、またはアライの活動を会社がサポートしている』があります。

アライを増やす取り組みというのはなかなか難しく、一般的にはアライシール(ステッカー)などを身に着けて発信するというものがあります。もう一歩すすめて、アライのコミュニティをつくって成功している事例もあります。当事者コミュニティは、当事者の心理的安全性という面で大切なので評価項目にもありますが、アライを増やすという意味では当事者の参加がなくてもいいので、アライのためのアライコミュニティをつくり、アライの輪を広げていく活動が効果的なことがあります。

 

第3に有効なのが、啓発活動(I)の中の『アライを増やす、もしくは顕在化するための取組みを実施している、またはアライの活動を会社がサポートしている』があげられます。

LGBTに関連する話題への接触頻度を増やすということが大事になります。研修やセミナー、勉強会という手法ももちろん有効なのですが、それ以外に情報発信を継続することで、LGBTに特別関心のない人にも頻度高くLGTBの話題が届くので“あたりまえ”を変えていくことにつながっていきます。

 

上記の経営TOPのメッセージは、経営者自身の想いがないとなかなか難しい面がありますが、その他の2つは人事・ダイバーシティ担当者でもスタートできることがあると思います。具体的なやり方はいろんな方法・事例があるので、また別の機会にご紹介します。

いずれにしても、風土づくりという観点では、アライを増やしていくということがなによりも大事になります。

今年PRIDEを受賞した企業も、これから応募しようと考えている企業も、多くの評価項目で〇をつけられる取り組みをすると同時に、少しでも風土づくり≒働きやすい職場環境づくりに近づけていくために、取り組み内容に優先順位をつけて、フォーカスした取り組みの深堀をしていけるといいですね。