2021年3月に、札幌地裁で同性婚訴訟の判決がでました。札幌地裁は、婚姻によって得られる効果を同性愛者にも提供しないのは憲法14条の「法の下の平等」に違反するという判断を示しました。このような判決は日本で初であり画期的な判決と言えるでしょう。
この判決を受けて、同性パートナーがいる当事者6人にそれぞれの立場で同性婚について、思うことを語ってもらいました。みなさんたくさん語ってくれたのですが、その一部をご紹介します。
今回、集まってもらったのは次の6名です。いずれも一緒に暮らしているパートナーがいます。
Aさん・・・22歳。レズビアン。
Bさん・・・27歳。バイセクシュアル(戸籍:女性)。
Cさん・・・42歳。ゲイ。
Dさん・・・30歳。ゲイ
Eさん・・・33歳。ゲイ。
Fさん・・・26歳。FTMトランスジェンダー。
- Aさん
私は今回の同性婚の判決はとても嬉しいです。今、一緒に暮らしているパートナーとはずっと一緒に暮らしたいと思っています。ただ法的な結婚ができないと、社会保障とかでやはり不安があります。すぐに結婚をするかはわかりませんが、その選択肢があるだけで二人の関係性が安定するような気がします。早く、正式に同性婚が認められるようになってほしいです!
- Bさん
私はすぐにでも同性婚を認めてほしいです。今は住んでいる自治体のパートナーシップ制度を活用しているので、一応、パートナー証明書がありますが、引っ越したら無効になるし、効果は弱いので、同性婚がいいです。両親にはパートナーがいることは伝えてあり、認めてもらっています。ただ同性婚ができれば、もっとそういう理解が深まると思います。
- Cさん
僕はパートナーともう10年以上一緒に暮らしています。二人とも40代というのもあり、ちょっと早いかもしれないけれど老後のこととかも考えると、やはりちゃんと公的にパートナーと認めてほしいです。なにか病気とかになったときに立ち会えないとか、万が一があった場合に周りにちゃんと僕たちの関係を伝えられないのはどうしてもイヤです。まだ同性婚がすぐにできるわけではないですが、早くしたいですね。
- Dさん
僕も同性婚自体は賛成です。それで社会的に認められることで安心できる人がいるのはよくわかるので。ただ自分が使うかというと、今の段階では難しいと思っています。難しい一番の理由は、親とか周りの理解ですね。僕がゲイであることは親には言っていません。いろんな発言を聞いていると理解してくれるとは思えないので。親からすると、僕はただなかなか結婚をしないな、って思っていると思います。仮に同性婚が認められても、親や周りの理解がなければ実際に制度を使うことは難しいですね。
- Eさん
僕は、皆さんと違って同性婚にはあまり賛成ではないです。それが良いという人がいるのはよくわかるのですが、一方で既存の異性婚の枠組みに入るのが良いとはあまり思えません。同性婚を考えるときに、『結婚をしたほうがいい、それも長く継続したほうがいい』という価値観がベースにあると感じるのですが、必ずしもそうとは言えないのではないかと思っています。今のパートナーとは3年ほど付き合っています。法律的な縛りがなくてもお互いが自分で良いと思って一緒にいるのですが、もし同性婚があると、その制度に縛られて結婚を迫ったり迫られたりすることになりそうで、それもちょっと違う気がしています。同性婚がまだイメージできてないだけかもしれません。
- Fさん
私は、FTMのトランスジェンダーです。彼女がいて2年くらい一緒に住んでいます。FTMと言いましたが、自認として男性とは言い切れない部分もあります。Xジェンダーかもしれません。男性への性別移行は考えていません。同性婚ができれば、彼女と私は戸籍上は同性なので、結婚という選択肢が増えるのはいい気がします。ただ結局、男女か男性同士か女性同士か、いずれにしても性別は二元論という感じがします。もし私が彼女と同性婚する場合には、私は女性という扱いになると思うので、ちょっとそこにはもやもやした感じはあります。ただ同性婚自体は反対ではないです。
このほかにも何人かの当事者のかたにお話を聞きました。同性婚が早くできるといいという意見が多いです。一方で、同性婚というのがあまりリアルに見えていなかったからこその戸惑いや、制度だけではつかえず、社会の理解がより重要という意見もありました。
異性であっても結婚制度があるために、親からのプレッシャーやパートナーから結婚を求められるので困るという話もあります。同性愛者や異性愛者に関わらず人によって意見や考えが違うのは当たり前だからこそ、いろんな意見を聞いたうえで制度をつくっていくことが大切だと思います。