契約企業の概要

広告業界のA社。社員数は700名ほどで、LGBT取り組みに関しては一昨年に一般社員向けのeラーニングを実施し、その後、管理職向けの研修、経営者向けの研修を順次、実施しています。
昨年、ダイバーシティ推進室が新設され、今後はパートナーシップ制度の導入などの取り組みを推進していく予定です。
比較的、若い社員が多くオープンな雰囲気の職場です。

相談内容

ご相談をいただいたのは、ダイバーシティ推進室のSさんからです。
Sさんは、昨年、新卒で入社していろいろな現場をローテーションして仕事を一通り覚えた後、半年ほど前に新設されたダイバーシティ推進室へ配属になりました。
ダイバーシティ推進室は、Sさんも含めて3名です。

Sさんの相談は、ダイバーシティ推進室で仕事をしていく中で、モヤモヤすることが多くなったので話を聞いてほしいということでした。

Sさんは戸籍女性で、もともとボーイッシュな恰好などを好むところはあったのですが、自分を性的マイノリティと思ったことはなかったそうです。
ただダイバーシティ推進室の仕事をしていく中で、LGBTについても改めてちゃんと知り、また日々、LGBTやセクシュアリティというものについて考えていく中で、ダイバーシティ推進室の他のメンバーの発言にモヤモヤすることが多くあり、そこから自分自身がノンバイナリー/Xジェンダーではないかと思い始めたとのことでした。

モヤモヤを感じた事例としては次のようなことでした。

  1. 経営層としてはハラスメント防止や他社との横並びの意識が強く、社員の働きやすさや人権目線はあまり感じられない。
  2. ダイバーシティ推進室の取り組みは基本的に性別移行を考えるトランスジェンダー中心の施策が多く、ノンバイナリー/Xジェンダーの存在は想定されていないように感じる。
  3. 普段はパンツルックが多いのですが、ある日、たまたまスカートをはいて出勤したところ、ダイバーシティの担当役員(女性)から『似合ってるね!』とすごく褒められた。
  4. 研修などでたくさん知識を得ているはずのダイバーシティ推進室の室長が『ゲイというのは、男性なのに男性を好きになる人のこと』という発言をしていた。

弊社の外部相談窓口対応

ご相談をいただいて、まずはSさんのお気持ちをしっかりお聞きしました。
そのうえで、会社としての取り組みに対するモヤモヤ(1と2)と、個別の発言に対するモヤモヤ(3と4)について分けてお話をしました。

会社としての取り組みは、会社の風土や制度などの現状には違いがあり、取り組みの優先順位もあるので、理解を深めるためのアプローチも会社によって異なるのが一般的です。
他社の事例なども含めて、どういう取り組み方があるのか、その理由なども添えてお話をいたしました。

また個別の発言については、同じ発言を聞いていた別の人は特に気にしていなかったのに、自分だけが気になったということでSさんは自分が単に気にし過ぎなのでは?とも言っていました。
Sさんはこのようなことを同じダイバーシティ推進室のメンバーには相談できずに悩んでいるという状況でした。

いろいろ話をしていくと、自分自身のセクシュアリティ(性自認、アイデンティティ)について悩んでいるのが根本的な悩みとして浮かび上がってきました。
Sさんのセクシュアリティについては、自分でしか分からないことではありますが、その悩みを考えるサポートとして、ノンバイナリーの人をご紹介して実際の感覚や感じ方などの体験をお話させていただきました。
間をおいて3回ほどお話をさせていただき、最終的にはSさんも自分のセクシュアリティへの考えを整理できたようです。

自分のことがすっきりすると、モヤモヤを感じていた周りの言動についても、ある種の割り切りができたようで、最後には『ダイバーシティ推進室の一員として、少しでもみんなが働きやすくなるように、できることをやっていきます!』と話されていました。

自分のセクシュアリティについて向き合うと、しんどく感じるというケースはよくあります。特にダイバーシティ推進室という仕事と密接に絡むと、このテーマから逃れる(切り替える)時間がなく、仕事が辛くなることもあります。
とことん話をして、自分で整理がつけられると自己受容ができ前向きになれることも多いです。

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