ダイバーシティといえばまずは女性活躍推進!LGBTのダイバーシティはまだ早いと考えている企業が多いのも事実です。
しかし、女性活躍推進を進める企業で働きたい!というLGBT当事者もいます。
国家資格をもつAさん(女性 31歳)は、現在、自分が働いている企業は女性の活躍推進に遅れていると悩んでいるLGBT当事者です。
私の家は、祖父が建築業をやっていて建築の現場が身近にありました。
祖父の後を継いだ父について現場に遊びにいくこともよくありました。母親からは「危ないし、女の子なんだから、あんまり現場にいかないように」と言われていましたが、幼心にモノづくりに興味があったんだと思います。大学も建築系の学部を卒業して、就活では建築業界に絞って企業選びをしていました。就活自体は結構、厳しかったです。今のような売り手市場ではなく就活全体が厳しかったのもありますが、建築業界自体が女性の採用に積極的でなかったのも原因の一つです。
それでも社員数300名ほどの中堅企業に入社ができ、希望通り現場で施工管理の仕事をこれまで8年間やってきました。
仕事自体は就活前のイメージが裏切られることなく、やりがいがありとても楽しいです。仕事をしている8年の間に一級施工管理技士という国家資格も取得しました。しかし最近、感じるのはやはり女性はなかなか仕事を任せてもらえないということです。もっと言えば出世が非常に遅いです。同期入社の男性社員と同等以上に仕事をしているにも関わらず、他の男性社員は役職がつく中、私だけが昇進できません。
仕事が面白かったので最初はあまり気にしていなかったのですが、実は最近、女性のパートナーができ一緒に暮らすようになって初めて意識が変わりました。仕事が楽しいだけではなく、パートナーの彼女をちゃんと養っていけるようになりたいのです。
仕事場では、31歳という年齢もあり、結婚しないのか?というのはよく聞かれます。その質問が鬱陶しく感じることはもちろん、あるのですが、それ以上に、結婚=寿退職とイメージしているのがとても気になります。誰も私が家族を養っていくということイメージしていないんですよね。
Aさんが働く会社は、男性優位の企業で女性活躍も実質的にはあまり進んでいません。こういう企業では「しっかり仕事をしたい!」というストレートの女性も働きにくさを感じるでしょう。レズビアンであるAさんはそれ以上に息苦しさを感じて転職活動を開始しました。
Aさんが転職先企業に希望するLGBT取り組みとしては、『同性パートナーシップ制度があること』です。ただし本質的には同性パートナーシップ制度が重要なのではなく、女性でもしっかり家族を養えるように仕事を任せてくれて昇給する企業であることが転職での軸と考えています。
女性活躍推進がまだ不十分なので、LGBTダイバーシティ推進の取り組みは時期尚早という企業もありますが、実は女性活躍推進を望んでいるLGBT当事者もいるのです。
またLGBTダイバーシティ推進の取り組みは、トイレの設置などコストや手間がかかることが多いと考えている経営者も多いですが、もっと一般的な女性活躍推進をするだけで、十分働きやすくなるLGBT当事者もたくさんいるのです。
Aさんは一級施工管理技士という国家資格を持っているので、転職先自体はいくつもあります。その中で自分が家族を養っていきやすい企業への転職活動を進めています。