Nijiリクルーティングでは、これまで1万社以上の企業とお話をして、LGBT研修をはじめとするLGBT取り組みの有無や、企業としての考え方を聞いてきました。
この1万社のうち、LGBT取り組みをしている企業が何社あるかといえば、おそらく1%もないです。
(注)1%は僕の感覚値です。データはとってあるのでいずれちゃんと集計したいと思います。
では、残りの99%の企業はなぜLGBT取り組みを始めないのか?これを今回のテーマとして取り上げてみました。
まずLGBT取り組みをしている企業をみてみると、LGBTの基礎的な研修だけで終わっている企業と、しっかりと取り組みを進めている企業に大きく分かれます。
実際の取り組み事例を見てみると、LGBT研修も基礎研修だけでなく、人事向け研修、役員向け研修、管理職向け研修など幅広い層に研修を実施したり、全社員向けにeラーニングを実施している企業も多く目にします。また就業規則(含む倫理憲章など)でのLGBTに関するポリシーの制定、同性パートナーシップ制度の導入、相談窓口の設置、PRIDE指標の取得、だれでもトイレの設置などを進めている企業もあります。
さらには、制度の導入だけでなく、社風の醸成に積極的にチャレンジしている企業もあります。
一方で、LGBT取り組みを全くやっていない企業のやらない理由を聞いていると、
3位:ポリシーをもってやらない
LGBTを認めるのは自分(人事担当者の場合もあれば、社長の場合もあります)の価値観と合わない、というポリシーを持っている場合があります。
2位:まだ早い(やる必要がない)
「最近LGBTって聞くようになったけど、まだ他社もやっていないし…」「うちには、LGBTはいないし…」のような発言を聞くことも多いです。
社会の理解浸透度に比例をしているのだと思います。
そして・・・
1位:考えたことがない
かなり多くの企業では、そもそもLGBTの取組ということ自体について考えたことがないというのが現状です。役員会で議題になるかというレベルではなく、人事部内でさえも議論になったことがないという企業はたくさんあります。
LGBTという言葉を知らない企業もたくさんありますし、知っていたとしてもそれを自分事(自社のこと)と捉えてはいなく、テレビの中の話という感覚をもっている企業が多いです。
こういう企業の場合、お話をしてみると、その大切さに気付いて「人事部内で検討してみます」「その考えは、当社の理念に近いので早速検討します!」というような反応になることもしばしばあります。もちろん、変わらないケースのほうが多いですが…。
僕は仕事柄、毎日の大半をLGBTについて考えて過ごしています。企業の人事やダイバーシティ担当の方もLGBTというのは当たり前のテーマとして捉えている方も多いと思います。しかし、世の中を見渡せば、それはまだまだ一部のことであり、無関心という人が多いというのは痛感します。
それから、前述のやらない理由の3位に関連しますが、LGBT取り組みに関して特徴的だと感じるのは、強い反対を示す人がいるということです。これは社長が反対する場合もありますが、人事担当者が反対する場合もあります。
中小企業のオーナー社長がLGBT取り組みを始めようかと思っても、社内の、それも一般社員からの強い反対で、取り組みを取りやめる事例もしばしばあります。
オーナー社長であればかなり強いリーダーシップがあるのが普通ですが、社長自身がかなり強く進めたいと思わない限り、数名の一般社員の反対でも止まることがあります。
なぜ、それほど強い反対を示すのか?この理由も人によって違いますが、不確かな知識に基づく先入観というのが大きな原因になっていることは間違いないです。
先日、「カランコエの花」という映画を見ました。以前のブログにも書きましたが、この映画の良いところは、LGBTというテーマに無関心だった人が向き合う、考えてみるというところにあると思っています。
時間も短いので、まだ見ていない方は、チャンスがあれば是非、見ることをお勧めします。