企業で働いているLGBT当事者と話をしていると、LGBTフレンドリーな職場で働きたいけれど、なかなかないよね、という声を多く聞きます。実際に転職活動中の方であれば、どの企業に理解があるのか知りたいというニーズ、見つけられないという悩みもとても多いです。

そんなLGBT当事者が、フレンドリー企業を探すのに活用してるものの一つが、LGBTに関する取り組み指標です。

 

LGBTフレンドリーな取り組みを始める企業が増えてきた中で、LGBTフレンドリー企業を指標で評価しようという動きも増えてきています。最も規模が大きいのがwork with Prideが実施している「PRIDE指標」で、2016年からスタートして3回、2018年の応募企業(団体)総数は153社あります。

自治体では、札幌市がLGBTフレンドリー指標制度を2017年からスタートさせており、2018年11月末時点で37企業が登録されています。そして2019年1月には大阪市でもLGBTリーディングカンパニー認証制度がスタートしました。

この3つを比較してみると・・・

評価項目が一番少ないのは札幌市になります。基本方針/啓発/内部体制/福利厚生/配慮/協力連携/その他と7つの項目についてできているかを申請し、それを評価して★1~★3がもらえる形です。大阪市が20項目、PRIDE指標が48項目あるのと比べると、かなりシンプル!です。

また大阪市の評価項目の特徴は、20項目のうち商品サービス提供者としての取り組みに10項目充てられていることです。札幌市とPRIDE指標はいずれも雇用主としての側面が中心なので、大阪市の評価項目は目立ちます。ただ商品サービス提供者といっても、C向けの事業をイメージしているようなので、B向け事業を展開しているような企業ではあてはめにくいかと感じます。

3つの指標に共通するのは、いずれも企業側が応募するということです。どの指標が良いというのは特にないですし、そもそも札幌市と大阪市は地元の企業(事業所)しか申請出せないので、よそとの比較は意味がないのですが。

ただ、PRIDE指標は評価項目が細かい(≒具体的)だけに、どういう取り組みをしていけばいいのかを考える材料になるという長所があります。LGBT取り組みをこれから始めよう!という企業にはよいマイルストーンになります。(中小企業では使いにくい項目もありますが・・・)

一方で、札幌市の良いところは、登録されている企業すべての取り組みがweb上で見れることです。これは実際にLGBT当事者からすると、とても役に立つ情報になります。

 

・・・と、ここまで外部から見るLGBT取り組み指標について書いてきました。
これが社内用だったらどうなるでしょう?

外部からのLGBT取り組み指標としては、定量化しやすいもの、申請に手間がかからないもの、各社共通で図りやすいものというような評価項目にならざるを得ないです。
ただ、実際にこういう指標で受賞している企業の人事の方はよくご存じのとおり、ある意味“形だけ”でもとれてしまう、ということもあります(これは、くるみんなども似ていますが)。

 

社内的に、自社のLGBTの取り組み(≒理解度やフレンドリー度)がどれくらいできているかを測るには別の指標が必要になります。制度は人事部がよくわかっているので、風土面の指標ということになります。

風土を把握するためには、一番オーソドックスなのはアンケートです。どのような項目で、どのような対象者にアンケートを行うか?という設計はいろいろありますが、社内利用目的であればアンケートを考えてみてはいかがでしょうか?LGBTはダイバーシティの一環でもあるので、アンケートはLGBT単独でなく他のダイバーシティとあわせて行う方法もあります(一緒にすることで結果に影響はありえます)。

また経営陣の理解度合いも風土づくりに関連するので、それを確認してみるという方法も良いと思います。

LGBT取り組みをスタートしたばかりの企業であれば、まずは外部の指標を中心に、取り組みを始めて1~2年たった企業は社内での測定を考えてみてはいかがでしょうか?