新卒採用の現場では、ここ数年で就活生からLGBT当事者であるというカミングアウトをうける人事の方が急速に増えてきています。
LGBTの就活生に話を聞いていると、LGBTフレンドリーな企業で働きたいという人は多いです。

今回は、LGBTフレンドリーというのをあまり求めていなかったMさん(大学3年生)のお話をご紹介いたします。

僕は現在大学3年生で就活を始めています。中学生のころから男子を好きになる自分がいて、最初は、おかしいのではないか?と悩んだこともありました。高校生のときにそんな自分を理解して受けいれてくれた男の友達がいました。残念ながら彼はノンケだったのですが、それでも理解してくれていたのは大きいです。今は大学のセクマイサークル(セクシュアルマイノリティサークル)にも所属しており、そこではいろんなセクシュアリティの当事者がいて、話をよくしています。

就活に関しては、大学3年の夏頃からスタートしています。あまり業界は絞らずいろんな企業を見てみたいと思い5社ほどインターンシップに行きました。インターンシップにいって思ったのは、自分には若いうちからチャンスがもらえるような社風の企業があうということです。
LGBTフレンドリー企業というのが世の中にあるというのは聞いたことはありましたが、別にセクシュアリティに関して特に企業に希望することもなかったので、インターンシップ先もLGBTという軸はまったくなく参加しました。当然ながら?!インターンシップではLGBTに関しての話はどの会社もありませんでした。女性が活躍という話はありましたが。

セクマイサークルの友達の中には、LGBTフレンドリー企業がいい!というこだわりをもって就活をしている人もいます。その人たちと話をしていても、僕はあまりそれを感じませんでした。僕は言わなければ、周りからゲイだと気づかれることはないですし、誰を好きになるかは仕事をする上ではあまり関係ないと思っていたからです。

ただその後、セクマイサークルの友達が参加したいというので、一緒にNijiリクルーティングさん主催の就活イベントに参加しました。そのイベントではLGBTに理解があるという企業が何社もきて説明をしてくれました。その中には同性パートナーシップ制度がある企業や、実際にLGBT当事者がカミングアウトをして活躍している企業もありました。
その話を聞いて、自分の就活の軸が少し変わりました。特に大きかったのが、実際に企業で働いているゲイの先輩社員の話です。僕は働いたことがないのでわからなかったのですが、仕事をする上で関係とはいっても、恋愛の話などはでてきて、仕事のしにくさがあるというのもわかりました。

今の就活の企業選びの軸は、若いうちからチャンスがあるという社風のほかに、柔軟な社風がいいと思っています。同性パートナーシップ制度などはなくてもいいです。ただ古い価値観に縛られている企業はちょっと厳しいかと思っています。LGBTに限らず、いろんなことを柔軟に考えられる人が多い職場がいいな、と思っています。

Aさんは2020年卒なので、就活がまさに本格化してきたところです。面接においてカミングアウトはしないそうです。ただLGBTも含めて柔軟な社風があるかは、説明会や面接の場を通じでみていきたいとのことです。

LGBTの中でもトランスジェンダー以外の就活生の、カミングアウトをする比率は高くはないです。LGBT取り組みで“何をしているか”というより、“どんな価値観(社風)の企業なのか”を意識してみている就活生は多いです。