LGBTの取り組みを始める企業が増えてきています。2019年10月11日に発表になった2019年のPRIDE指標においても194社の企業・団体からの応募があり2018年と比較して約30%も増加しています。

LGBT取り組みを始めようという場合に何から始めたらいいかと悩む人事ダイバーシティ担当者も多いです。またLGBT研修は一度、やってみたものの、その後はどのように進めたらよいのか?経営陣への理解を深めるのはどうすればいいのか?という悩みを抱えている担当者も多いです。

今回は、LGBT取り組みを進めるにあたって大切なことをまとめてみました。

1.なぜLGBTの取り組みを進めるのか?

LGBTの取り組みを何かしなければ…という考えでまずは研修からスタートするケースが多いですが、何の目的でLGBT取り組みをするのかがとても大切です。

目的を大別すると、①コンプライアンス、②ダイバーシティ&インクルージョン、③人権&CSR、④マーケティング、⑤社員からのカミングアウト対応の5つのパターンが多いです。

企業として当然に法令順守が求められますし、ダイバーシティ&インクルージョンの環境をしっかり作れれば人材の採用や既存社員のモチベーションアップなどのメリットがあります。

この目的次第で、取り組みの内容や優先順位も変わります。特に経営者や管理職を巻き込み、スピードをあげるためにはこの目的を整理することがもっとも重要になります。

すでにLGBT研修を始めているという企業であっても、管理職がその目的を明確に答えられないというケースもあります。

一方でこの目的は必ずしも明確に区分できるものではありませんし、目的は一つだけということはむしろ少数です。一般的には複数の目的があり、その中に優先順位があります。またこの目的自身に優劣があるわけでもありません。自社の経営者の価値観や考え方・社風などによって目的はかわってきます。LGBT取り組みを始めるにあたっては、LGBT取り組みの目的をもう一度考えてみてはいかがでしょうか?

2.LGBT研修を活用するために

企業としてLGBTアライになっていくための取り組み項目はいろいろありますが、まずは研修やセミナーから行うというのが一般的です。

LGBT研修においては、基礎知識を学ぶということも大切ではありますが、単に知識をインプットする場ではなく、LGBTというのを自分事として捉え翌日から研修受講者の行動が変わることが重要です。

研修は書籍やeラーニングとは違いライブという特徴があります。研修講師と受講生が質疑応答を含めて双方向でのやり取りができ、またLGBT当事者の話を直接きくということもできます。

また研修受講者が自分自身の先入観(アンコンシャスバイアス)に気づくことができるというのもLGBT研修の活用事例といえます。さらにグループワークなどを研修に取り入れることで、自分で考える体験、周りの同僚と話し合うという経験を経てLGBTの話を自分事として捉えることが可能になります。

3.LGBT研修(人事・ダイバーシティ向け)コンテンツ事例

LGBT研修ではどの層を対象に研修を行うか?というのが最初の検討事項としてあります。ダイバーシティやコンプライアンスの研修を例年行っており、その一環としてLGBTを取り入れるという企業もあります。この場合は、新任マネージャー向けや一般社員向けなどいろいろな研修パターンがあります。一方、LGBT取り組みを0からスタートするという企業であれば、人事ダイバーシティ担当者向けの研修から始めることが多いです。

研修の目的次第で、どのような層を対象にすべきかがかわります。

人事ダイバーシティ担当者向けのLGBT研修であれば、なぜ今LGBT取り組みを始めるのか、何のためにやるのか?他社の事例や社会の状況はどうなっているのかということを研修コンテンツに取り入れ、自社のLGBT取り組み目的について研修参加者で共有・腹落ちできるようにすることも重要です。

LGBTの基礎知識に関しては、セクシュアリティに関する定義、LGBT当事者の悩みや希望を知ることも大切ですが、表面的な話だけではなく、より仕事の現場で生じる事例やそのための知識を知ることです。

そのために、LGBTを一括りにしないで、L・G・B・Tだけなく属性の違いを理解し、多くの当事者の悩みや状況を聞くことも有用です。

また2020年4月からパワハラ防止法が施行されますがその中でSOGIハラ及びアウティングの防止に関しても盛り込まれることになり、注目を集めています。ハラスメントはいろいろありますが、その中でSOGIハラは他のハラスメントと違う大きな特徴があります。SOGIハラとは何か?防止するために必要なことは何か?人事部や管理職向け研修ではSOGIハラに関してもコンテンツに盛り込む事例も多いです。

4.LGBT研修後の取り組み

LGBT取り組みを進めるためには研修後にどのような取り組みをしていくのかが重要です。LGBT当事者が働きやすい環境を作るためには制度(設備)面と、風土面の両輪が大切です。

具体的な取り組み事例としては、管理職研修、経営者向け研修、一般社員向け研修などの各種研修、全従業員向けのeラーニング、LGBT専用相談窓口の設置、パートナーシップ制度、トランスジェンダー向け手術休暇制度、LGBT理解促進week、LGBT(アライ)コミュニティ、誰でもトイレの設置、更衣室の改修などがあります。

これらの項目の優先順位に関しては一概に言えませんが、制度面に関しては人事部主導で進めることができ、手を付けやすいです。

一方で、本質的には風土面の環境づくりが重要なので、時間がかかっても風土面に寄与する取り組みを地道に進めることがアライを増やし、働きやすい環境づくりには必要になります。

いずれにしても進めるにあたって経営陣の理解がどれだけ得られるかが、スピードに大きく影響します。

 

LGBT取り組みを進めるためには大切なことはいろいろあります。LGBTの取り組みを進めること自体は、社会から求められる時代になっていますし、しっかり進めればメリットもあります。上記の事項を意識して取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?

 

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