4月末から5月初めにかけてのPRIDEウィーク、そして6月のPRIDE月間など、LGBTに関連するイベントが多数開催される時期です。今年は新型コロナウィルスの影響でリアルイベントは多くが開催中止になっていますが、オンラインを中心にイベント開催の動きもあります。

外出自粛の今だからこそ、LGBT映画の鑑賞はいかがでしょうか?

今回は、LGBTに関連するオススメの日本映画を4本紹介します。

『彼らが本気で編むときは』(2017年)

監督:萩上直子
出演:生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ
あらすじ:トランスジェンダーのリンコと育児放棄された少女トモ、リンコの恋人でトモの叔父のマキオが織り成す奇妙な共同生活を描いた人間ドラマ。

生田斗真さんがMTFトランスジェンダーという役をつとめて、桐谷健太さんがその恋人役を演じています。生田斗真さんは「衣装やメイクはもちろん、立ち居振る舞いのひとつひとつに細心の注意を払った。女性を演じるのではなく、女性として生活することに注力した。約1カ月の撮影中は帰宅してもマニキュアを落とさず、スカートをはくなどしてリンコでいることに徹した」とのことです。生田斗真さんの姿がとても魅力的です。

タイトルになっている“編む”も深いテーマになっているので、映画を見る中で何をどんな想いで“編んで”いるのかも考えてみると、より楽しめます。

『カケラ』(2009年)

監督:安藤モモ子
出演:満島ひかり、中村映里子
あらすじ:平凡な女子大生のハル(満島ひかり)は、セックスにしか興味のない彼氏との心の通じ合わない関係に疑問を抱いていた。そんなある日、ハルは、人の身体のパーツを作るメディカルアーティストのリコ(中村映里子)に出会う。ともに時間を過ごすうち、愛に男も女も関係ないというリコの人生観に諭され、ハルは次第にリコと親密な関係になっていく…。

安藤モモ子さんの初監督作品です。女性同士の恋愛における相手への接し方や相手への不安、見えない将来への諦めなど、とてもリアリティがあります。

『戦場のメリークリスマス』(1983年)

監督:大島渚
出演:ビートたけし、坂本龍一、デビットボウイ、トムコンティ
あらすじ:1942年。ジャワ山中の日本軍俘虜収容所。そこには単純で粗暴な軍曹ハラ(ビートたけし)と日本語が流暢な英国軍中佐ロレンス(トムコンティ)、そして収容所長のヨイノ大尉(坂本龍一)がいた。そこへある日、英国軍少佐セリアズ(デビットボウイ)が連れてこられた。

収容所という極限状態の中で、日本軍人と英国人俘虜との複雑な関係や文化や価値観の違いとともに、同性愛が大きなテーマになっています。

坂本龍一が初めて手掛けた映画音楽は多くの人が耳にしたことがあると思います。戦争映画でありながら、戦争シーンは一切なく、また女性も全く登場しません。映画のラストシーンは、とても印象的でカンヌ国際映画祭でも当時、とても話題になりました。40年近く前の作品ですが、とても興味深いです。

『怒り』(2016年)

監督:李相日
出演:渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡、広瀬すず
あらすじ:「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に三つのストーリーが同時に進行していく群像劇です。

前歴不詳の3人の男と出会った人々がその正体をめぐり、疑念と信頼のはざまで揺れる様子を描いており、ミステリーではありますが、謎解きよりも人の愛や信頼がいかに不確かを描いています。

ストーリーのうちの一つが、優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)のゲイシーンです。出会いから過激なシーンも含めてリアルなゲイの描写がされ、それを二人の俳優の演技力で見るものを映画に引き込んでいきます。

見る人によって評価は分かれますが、考えさせられる映画です。

 

この4本の映画はそれぞれ時代背景も違えば、監督が描きたいことも異なります。LGBTという言葉もなく差別が強く残っていた時代から、LGBTを正面から取り上げたもの、LGBTはメインテーマではないもののストーリーの一つとしてしっかり描かれているものなどさまざまですが、それぞれ見応えがあります。興味を持てるものがあれば、ご鑑賞してみてください。