LGBTの取り組みに関して、eラーニングを導入する企業が増えています。特にPRIDE月間にあわせて、eラーニングを実施するという企業も多いです。
企業ではさまざまなeラーニングが実施されています。eラーニングは実際に受けた際の目的や効果が大切ですが、これはテーマによって異なります。LGBTというテーマに関して、何が大切なのか?これまで多くの企業にLGBTのeラーニングを提供してきた中で、改めて、eラーニングの目的と効果についてまとめてみました。

eラーニングに関しては、研修などと比較すると、そのやり方は多様です。動画視聴なのか、パワポの資料を自分で読む方式なのか?動画視聴であれば、オンライン研修を録画したものなのか、原稿にナレーションがついているものなのか?時間はどれくらいなのか?受講管理は?確認テストは?などさまざまな方法が考えられます。

ただし、いずれの方法であれ、数千人~数万人の社員に一定の教育研修を行う方法として、eラーニングが最も有効な方法のひとつであるとは言えるでしょう。

 

LGBT eラーニングの目的と効果にもいろいろありますが、大きく3つあると考えています。

一つ目は、コンプライアンスです。2020年にパワハラ防止法が施行され、SOGIハラもパワハラに該当する可能性があることが明示され、企業はそれを防止する義務があります。

防止するための効果的な方法として、LGBT eラーニングがあります。eラーニングを実施しても、すべての人がしっかり対応できるようになるわけではないですが、一定割合の社員には教育効果が期待できます。

企業としての義務&効果という観点から、eラーニングの実施は求められています。

 

二つ目は、実際の啓発効果です。特にLGBTという言葉や存在を身近に感じてもらう効果が期待できます。

最近ではテレビやネットでもLGBTについてのニュース、ドラマなど話題を目にする機会が増えており、LGBTというのがテレビタレントや新宿2丁目の中だけ、と思っている人は少なくなっていると思います。

しかし、本当に身近にいると感じている人はまだまだ少ない印象です。企業が、LGBTというトピックをeラーニングとして取り上げることで、より身近な出来事としてとらえる人が増える効果が期待できます。

 

三つ目は、意識づけの効果です。eラーニングの中には勉強系のコンテンツもありますが、LGBTに関しては知識を学ぶということ以上に、意識を変える、アップデートして、社員一人ひとりの行動が変わるということが大切になります。

LGBTの働きにくさの原因はいくつかあります。設備や制度面の働きにくさは人事部門が中心になって変えていくことが可能ですが、風土面の働きにくさは社員一人ひとりの行動が大切になります。

eラーニングの各コンテンツは知識の集合なのですが、それが一体となったときに、社員が気付きを得られるようなストーリーになっていることが望ましいです。

 

このような目的や効果が期待できるeラーニングですが、デメリットとしては受講者が受け身であるということです。受講者によって関心の高さはかなり違いますが、受け身の受講者には、内容がなかなか伝わりにくいという課題があります。

できるだけ多くの社員に関心をもってeラーニングを受けてもらうためには、企業として啓発活動を複数組み合わせて行ったり、確認テストを工夫したり、eラーニングも継続して実施するなども良いと思います。

PRIDE月間は社会的にもLGBT関連のニュースも増えるので、eラーニングだけに限らず、簡単なところからでも何か啓発活動を始めてみてはいかがでしょうか?