LGBTに関する社会の関心や理解は年々急速に深まってきています。企業においては社会の公器として期待される役割があるので、ダイバーシティ&インクルージョンやコンプライアンスだけでなく人権やCSRの観点からもLGBT取り組みが求められるようになりつつあります。
今回は、企業に求められるLGBTの取組を考えるために、LGBTに関連する社会の最近の動きをご紹介します。
自治体の同性パートナーシップ制度
2015年に東京の渋谷と世田谷区でスタートした自治体の同性パートナーシップ制度が、2022年9月現在で、200以上の自治体にまで拡大してきています。その中には大阪府や福岡県といった府県、横浜市や札幌市、京都市といった政令指定都市なども含まれており、人口カバー率では50%を超えるまでとなっています。
さらに2022年11月には東京都でも同性パートナーシップ制度がスタートする予定となっています。東京都の同性パートナーシップ制度は、他の自治体と異なり、東京都在住者だけでなく在勤・在学者まで対象としており、おり、パートナーシップ制度が自治体の当たり前となってきています。
大手企業でも福利厚生制度の適用範囲を同性パートナーにも拡大する動きは広がりつつありますが、未導入の企業も多くあります。自治体の急速な動きを注視しておくことも大切かと思います。
自治体の条例
都府県単位では、各自治体が独自の条例を制定しているケースがあります。
2017年・・・東京都「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」
2018年・・・茨城県「茨城県男女行動参画推進条例」
2019年・・・大阪府「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」
2021年・・・三重県「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」
2021年・・・鳥取県「鳥取県人権尊重の社会づくり条例」
2022年・・・秋田県「秋田県多様性に満ちた社会づくり基本条例」
2022年・・・埼玉県「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」
このような条例は、それぞれ特色をもって制定されています。例えば東京都の条例は、オリンピック憲章の順守を意識してオリンピックの開催前というかなり早い段階で条例が制定されています。
また三重県の条例では、都道府県単位では全国初の差別禁止やアウティング禁止を盛り込んだものとなっています。
そして今年制定された埼玉県の条例においては、県の責務を明確にし、そこでは理解促進のための啓発活動や研修の実施、相談体制の整備、提出書類の性別欄の見直しなどの社会づくりの取り組みが明記されています。
特に特徴的なのが、企業向けとして、①オンライン研修 ②企業の担当者向けの相談窓口の設置(にじいろ企業相談) ③埼玉県独自の指標制度(埼玉県アライチャレンジ企業登録制度)を用意していることです。
なお、②のにじいろ企業相談については、はNijiリクルーティングで対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
企業向けにこのようなメニューをそろえているケースはほとんどないため、埼玉県内に本社や事業所のある企業は有効活用すると良いかと思います。
LGBTに関しての最初の課題は、存在や課題が可視化されていないということでした。この数年で、さまざまな形でLGBTの話題がニュースとなっています。身近かどうかは人によって異なりますが、それでも社会全体では課題が可視化され理解が深まりつつあります。
自治体の動きはパートナーシップ制度も条例なども年々、急速に増えており、今後も加速していくことが予想されるので、注目しておくことも大切かと思います。