就活にはマニュアルやルールがあると言われています。例えばスケジュールに関しては、企業側が過度な学生の争奪戦をせず学業の妨げにならないようにと、一定のルールが政府主導で設けられています。
また企業・業界研究、自己分析、エントリーシートの書き方、面接対策などについて書かれたweb記事や書籍がたくさん出回っており、就活生も大学のキャリアセンターもこれらの情報をベースに就活をすることが一般です。
しかし、LGBT就活生においては、このようなマニュアルには載っていない、あるいはマニュアルとズレがあるために就活において困る場面がしばしばあります。
今回はノンバイナリーを自認するOさんの体験談です。
私は、都内の私立大学の3年生で、もうじき就活が本格的にスタートします。
戸籍は女性で、ノンバイナリーを自認しています。
実際に就活を迎えるにあたって、自分のなかで心配なことをお話します。まず、服装やメイクです。
私はノンバイナリーを自認していて、いわゆる女性らしい格好は苦手です。大学にいくときはスカートやヒールをはくことはありませんし、基本的にノーメイクです。就活では、身だしなみが大切とよく言われるのですが、どのようにしたら良いか困っています。
先日、大学のキャリアセンターの担当の方と面談をする機会があったので、そこで面接時の服装やメイクについて相談をしてみました。ノンバイナリーということ、女性らしいスーツやメイクは苦手ということは伝えたのですが、面接という短時間のことだからできるだけ無難にしたほうがいいというアドバイスでした。
今のところ、スカートは無理なので、パンツスーツにして、メイクはできるだけ薄く、ヒールがほとんどないパンプスにしようと思っていますが、これでいいのか自信がありません。
また企業選びについても悩んでいます。
旅行とかエンタメに興味があるので、そういう業界に行きたいと思っています。ただできれば、LGBTとかについても理解のある職場がいいと思っています。
実際に企業の採用ページやナビサイトを見ているのですが、LGBTの取り組みとかは書かれていてもさらっとしか書いてなくて、なかなかイメージができないので、実際のところがどうなのか心配があります。面接ではたぶん聞けないと思うので、どこかに情報がないか、いろいろ調べているところです。
あと心配というか気になるのは、ノンバイナリーの先輩とかはどういう仕事をしているのということです。
私は大学でセクマイサークル(※セクシュアルマイノリティのサークル)に所属しているので少し上の先輩の声を聞くことはあるのですが、できれば30歳以上の人の働き方を知りたいです。
就活においてマニュアルがあることの問題点もよく指摘されますが、就活生からするとマニュアルがあることの安心感もあります。
就活の大部分はノンバイナリーかどうかに関わらず特に変わりはありませんが、ノンバイナリー特有の就活のポイントはあります。
ここに関するマニュアルやロールモデル(先輩の声)が見えないことが、LGBT就活生の不安につながりやすいです。
就活生側だけでなく、企業側も対応がさまざまだからこそ、定型化されたマニュアルというより、お互いに個別の対応も大切になります。
Oさんには、ノンバイナリーの先輩の就活の事例や、企業側の状況などをNijiリクルーティングからお伝えして、少しだけ安心してもらえました。