6月のPRIDE月間になると、企業や学校、メディアなどでLGBTについて取り上げられる機会が増えます。
レインボーカラーの装飾やイベントを目にすることも多くなりました。

一方で、「言葉は知っているけれど、実際にはよくわからない」「研修は受けたけれど、まだ距離を感じる」という人も少なくありません。

LGBTというテーマは、制度や知識だけで理解するのが難しい部分があります。だからこそおすすめしたいのが、“本を読むこと”です。
小説、エッセイ、写真集、入門書――。さまざまな作品を通じて、当事者の感情や生きづらさ、喜びに触れることで、単なる知識ではなく、「相手を想像する力」が育まれていきます。

今回は、PRIDE月間におすすめしたいLGBT関連書籍を、いくつかの角度からご紹介します。

■LGBTについて知りたい方向け

『マンガでわかるLGBTQ+』

「LGBTについて学びたいけれど、難しい本はハードルが高い」という方におすすめなのが、この一冊です。
19の短編マンガからなるので、どこから読んでも良いですし、すき間時間に読めるので手に取りやすい一冊です。
LGBTに関する基礎知識も一通り網羅されており、またさまざまなLGBT当事者の体験談が掲載されているので、入門には最適の一冊です。

読みやすいLGBT入門書を探している方におすすめ。LGBT関連書籍紹介

『ビジネスパーソンが知っておきたい LGBTQ+の基礎知識』
LGBTをテーマにした本の中でも、特にビジネスパーソンをターゲットにした書籍です。
LGBTの定義や社会の動き、当事者が抱える課題といった一般的な基礎知識だけでなく、企業として取り組む意義や働く環境づくりといった話題まで幅広く扱っています。
深く掘り下げて知るというよりも、新入社員研修などでの活用など、導入の一冊としておすすめです。

新入社員のLGBT研修資料にもおすすめの一冊。LGBT関連書籍紹介

■「LGBTに反対」という人にも読んでほしい一冊

『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門』

トランス女性であり明治大学非常勤講師でもある三橋順子さんの10年以上にわたる大学でのジェンダー論講義をまとめたものです。
大学生向けの講義だからこそ、中立的かつ分かりやすい語り口です。またトランス男性とトランス女性の違い、性的指向と性自認の違いなど、当事者だからこその解像度の高さでの説明は、新たな気づきがあります。
学生からの質問とその回答も、リアリティがあり興味深いです。

昨今の急速な社会の変化に反対!という方向けの記述もあり、LGBTというテーマに関心をもつさまざまな立場の人におすすめの一冊です。

LGBTというテーマに反対!という人にもおすすめしたい作品紹介


■多様性について深く考えたい人へ

『正欲』

朝井リョウさんの『正欲』は、「多様性」という言葉の難しさを突きつける作品です。
性的マイノリティというテーマだけに留まらず、「理解されにくい欲望」や「普通であることへの圧力」が描かれています。
この作品が強く心に残るのは、“わかりやすい多様性”だけではない現実を描いているからです。
近年、多様性という言葉は広く浸透しました。しかしその一方で、「理解しやすい多様性だけが受け入れられているのではないか」という課題もあります。

職場でも、

  • “理解しやすい人”だけが受け入れられる
  • 周囲に説明しやすい属性だけが尊重される
  • 少数派の中にもさらに孤立がある

という状況は少なくありません。
『正欲』は、「人を理解するとはどういうことなのか」を深く問いかけてくる作品です。

多様性を尊重したい人におすすめ『正欲』LGBT関連作品紹介

■映画からLGBTを知りたい方へ

『怪物』

是枝裕和監督の映画『怪物』は、子ども同士の関係性や“大人が決めつける普通”を描いた作品です。

LGBT映画として明確に分類される作品ではありませんが、「周囲の思い込み」や「言葉にできない感情」が丁寧に描かれており、多くの人の心に残る作品となりました。
誰かを理解したつもりになる怖さ、そして、“見えているものだけが真実ではない”という感覚は、LGBT理解にも通じる部分があります。

感情を通して多様性を考えられる作品としておすすめです。

カンヌ受賞作品。是枝監督『怪物』LGBT関連映画紹介

■PRIDEを“世界の文化”として感じたい方へ

『世界のLGBTQ+の歩き方~体験から文化、歴史、ナイトライフ、追悼まで』

世界のLGBTスポットやPRIDEを紹介した写真集です。PRIDEというと、日本では「パレード」という印象を持つ方も多いかもしれません。
しかし世界には、LGBTコミュニティの歴史や文化が根付いた場所が数多くあります。
海外のPRIDEイベントやLBTコミュニティを写真で紹介する作品では、単なる社会問題としてではなく、“文化”としてのLGBTを感じることができます。

カラフルな街並みや笑顔の写真を見るだけでも、「自分らしく生きることを祝福する」というPRIDE本来の意味が伝わってきます。

知識だけではなく、「楽しそう」「行ってみたい」と感じられることも、理解への大切な入り口です。

世界中のLGBTQスポットやパレードを豊富な写真で紹介した作品紹介

LGBTへの理解というと、何か特別な知識を身につけることだと思われがちです。

しかし本当に大切なのは、「自分とは違う人生がある」と想像できることではないでしょうか。職場の中にも、家族にも、友人にも、まだ言えていないだけで当事者がいるかもしれません。
PRIDE月間は、イベントに参加することも良いですが、一冊の本を通じて誰かの人生に触れてみる良い機会でもあります。
「まずは知ることから始める」
この機会にLGBT関連書籍を手に取ってみてはいかがでしょうか。