カミングアウトをしたくないと考えるトランスジェンダーの就活生が取れる選択肢にはどんな方法があるでしょうか?

トランスジェンダーの就活生がカミングアウトをせずに就活するには2つの方法があります。一つは自認する性別を隠したまま就活する方法。もう一つは、完全に移行を終えてしまいカミングアウトが必要ない状態にする方法です。

今回ご紹介するOさんは2018年3月に大学を卒業するトランスジェンダーの就活生。自分のセクシュアリティを誰にもしられずに社会人になることにこだわった就活です。

私は、女性です。生まれたときの戸籍は男性でしたが、今は女性です。

私は大学4年生を2回経験しています。単位は順調に取れていました。就活を始める前に手術をしたかったのですが、それまでに手術費用を貯められなかったので、一年留年してアルバイトをしてお金を貯めました。1度目の大学4年生の冬に手術をして、その後、戸籍を変更しています。

私の就活は1度目の4年生の終わりからスタートしました。周りの学生は、夏や秋のインターンシップに参加していましたが、私はバイトをしなければいけなかったし、何より戸籍変更前のセクシュアリティに悩みながら、インターンシップに参加するのが嫌で、戸籍変更前は、直接、企業と接触する形の就活はしていませんでした。

戸籍変更が済んだのが2月。そこから就活を始めたので少し他の人より出遅れていたと思います。就活では、「なぜ留年したのか?」「学生時代に何を一生懸命頑張ったのか?」などが答えにくかったです。学生時代に一番頑張ったのは手術費用を貯めるためのバイトですし、そのために留年をしていたからです。
私は、もう女性なので、その前の話はなるべく触れたくなかったし、知ってもらう必要はないと思っています。履歴書の書き方や面接での受け答えについては、担当してもらったLGBT専門のキャリアカウンセラーの人にもいろいろアドバイスをもらいました。

就活には時間はかかりましたが、希望の企業から女性として内定をもらえたので自信になりました。今度、入社する企業の人は、採用担当者も含めて、誰も私の過去のセクシュアリティは知らないです。私は女性として生きていきます。

Oさんと初めてお会いしたのがOさんの手術の直後で戸籍変更前でした。見た目は完全に女性でしたが、まだ女性としての自信がなかったのが、どこか人目を気にするような素振りが見えていました。

その後、就活を進めていくうちに自分に自信をもって、自分のキャリアを考えた就活をしていました。

先日、就職前にあいさつに来てくれたときに話をしていました。

「カミングアウトは誰にもしないから、まさかトランスがいるなんて思わないですよねー。」