採用現場で、LGBT当事者であることをカミングアウトされるケースが増えてきています。
この企業は、求職者(A氏)から面接の際にMTFトランスジェンダーであることをカミングアウトされました。
LGBTに関してほとんど取り組みをしていない企業の場合は、採用時のカミングアウトに対しても、なかなか積極的に取り組めないことが多いのですが、この企業は経営者自ら、これを機にLGBT取り組みを進めるべきではないか?という考えに至り、研修を実施することになりました。
転職希望者個人の問題と、企業としてどのような組織をつくっていくかの2点を同時に考えて研修を実施した点が、少し特徴的です。
研修概要
対象:経営者、役員、管理職
人数:40名
時間:90分
目的:LGBT採用のメリットと対応すべきことを知り経営判断にいかす
内容:基礎知識、採用成功の他社事例、採用にあたっての留意事項(事例)、当事者の体験談、質疑応答など
企業概要
設立30年を超えるIT企業から研修のご相談がありました。この企業は社員数が1000名程度の非上場企業です。
LGBT取り組み状況
IT業界ではあるものの、比較的堅い社風です。ダイバーシティ推進は女性活躍に注力をいれている状況で、LGBTに関する取り組みはハラスメント研修の一部に組み込まれている程度ということで、ほぼ0という状況です。
社内で公(人事部)にカミングアウトして働いている社員もいません。
LGBT研修の目的
今回、LGBT研修を実施しようと考えたのは、中途採用の求人に応募があった求職者(A氏)からMTFトランスジェンダーであることをカミングアウトされたことがきっかけです。
その求職者はスキル経験とも申し分なく採用をしたいというのが現場の意見でした。一方で、企業として周りが受けいれられるのか?企業としてどう対応すべきかを考えたいという思いがありました。さらにこのA氏だけではなく、企業として採用が経営上の重要な課題だからこそLGBTも働きやすい環境を整えることで、より採用力をあげることが可能になるかもしれないという考えで、それを判断するためにも今回のLGBT研修を実施したいということでした。
研修のポイント
今回は、経営課題であるという認識が社長に強くあったので、社長をはじめとする役員・経営幹部向けに90分の研修の希望でした。
経営者向けの研修だからこそ、企業にとってのメリットとデメリットを明確にすることをポイントに実施しました。
LGBT研修の実施内容
採用力upが経営課題という中で、求職者への内定の合否を保留にしていたこともあり、社長が全役員と経営幹部の総勢40名を緊急に招集し90分の研修を実施しました。
LGBTとは?LGBT当事者の働く上での悩みという一般論から入り、実際に採用を検討しているMTFトランスジェンダーが抱えやすい課題を説明しました。
またMTFトランスジェンダーが入社した場合に、周りの社員が抱える可能性がある悩みや不安などを伝え、それをどう解消するのか?当事者と非当事者のバランスのとり方もお話しました。
実際にA氏が入社した場合のことを想定した質疑応答。目の前に具体例があるからこそ、研修参加者も真剣で具体的な質問や意見が飛び出しました。
その後、LGBT採用という考え方を説明しました。LGBT採用といっても、「LGBTだから採用する」ということではなく、セクシュアリティに関わらず、通常の選考を行うということです。ただその中で、採用選考や入社後の待遇において性自認や性的指向で差別をしないことを発信することが大切ということを事例を用いてお伝えしました。
他社では、実際にLGBT当事者も働きやすい環境を作ることで採用成功につなげている事例が出始めています。
採用担当者向けではないので、具体的な採用におけるポイントというより、企業として必要なこととを理解していただくことに注力しました。
研修後の感想
NijiリクルーティングのLGBT研修
NijiリクルーティングのLGBT研修の特徴です。
1.LGBT非当事者と当事者の両方が講師
2.研修内容はオーダーメイド
3.豊富な事例(LGBT当事者側+企業側)
NijiリクルーティングではLGBTに専門特化のコンサルティング会社として、独自の視点・内容で分かりやすい研修を提供しています。
▶ NijiリクルーティングのLGBT研修の詳細