LGBTの就活生の中でも、自認の性別で働きたいというトランスジェンダーの就活生は、どのタイミングでカミングアウトをするか、悩むケースが多いです。選考をうける企業によっても、本人の状況によっても方法は変わるので、一概には言えない難しさがあります。

今回は、トランスジェンダー女性の就活生(Aさん)の体験談です。どのような考えで、どのようなカミングアウトをしたかお聞きしました。

私は、大学4年生で、先日内定式を終え、来年の4月に新社会人となります。

私は、戸籍上の性別は男性ですが、小さいときから性別に違和を感じており、よくある話ですが、小さい頃は、姉のスカートをふざけてはいたり、ランドセルは赤かピンクがいいといって親を困らせたりしていました。

小学生の時は、自分でははっきり自覚はしていなかったのですが、今は男の子だけど大人になったら自然に女の人になる、となんとなく信じていました。中学生のときにはさすがに自然に女性になれることはないとわかって、ただ自分は女性だという自認も強くなりました。中学生の時には、親にはカミングアウトをしました。本当の気持ちはわかりませんが、私は頑固なところもあったので、親も表面的には応援してくれる感じのことを言ってくれました。

大学に入ってから、ジェンダークリニックに通院をはじめ、ホルモン治療も開始しました。大学では、女性の服をきて、髪を伸ばしてメイクもしていたので、私のことをあまり知らない人は、多分、女性として見ていると思います。

クリニックでのアドバイスもあり、大学3年生のときには、改名をしました。就活に間に合うようにと思って改名の準備を進めていたのですが、思ったより時間がかかり、インターンシップは間に合わず、参加できないものもありました。ただ実際の正式エントリーには改名は間に合ったのは良かったです。

応募時にはカミングアウトをどうするか、悩みました。応募企業のHPとかをみても理解があるかとうかはよくわかりませんでした。結局、基本的にカミングアウトをせずに受けることにしました。
トランスジェンダーの先輩の話を聞いていると、LGBTの理解があるということを会社選びの基準にしている人も多く、その気持ちもとても分かる一方で、性別で仕事をするわけではないので、理解がない職場では働きたくないけれど、理解があることを最優先の希望事項にはしたくないと思っていました。またカミングアウトをしない状態で選考をうけて私自身を見て判断をしてもらったうえで、おまけとして性別について話せればいいなと思っていました。

選考を受けてみると、選考時には戸籍性がばれたことはありませんでした。最終的に3社から内定をいただき、そのなかで、自分がいちばん入社したいと思った会社にだけ、内定後に人事の人に電話をして、カミングアウトをしました。

その会社は大手上場企業ですが、研修なども含めてLGBTの取り組みは特に何もしていませんでしたし、前例もないとのことでした。ただ人事の人がしっかり話を聞いてくれて、私が働きやすいように、できるだけの配慮をしていただけるとのことで入社を決めました。

実際には、戸籍性がまだ変わっていないので、税金関係とかは戸籍の性別になりますが、それ以外は、トイレは女性用を使い、保険証は裏面記載対応をしてもらい、職場でも特にカミングアウトをもせず、女性として働くということになりました。

Aさんの場合、大学もLGBT対応を進めており、卒業見込み証明書などの提出書類にも性別欄がなく、カミングアウトをできるだけしないで就活をするというAさんにとってはそこも後押しになったそうです。
Aさんは、改名などかなり前倒しで準備を進めていたこと、また周りの人からは女性にしか見えないという状況だったこともあり、このような形での就活ができました。
あとは、Aさんは数年以内に性別適合手術を受けたいとのことでしたので、休職も含めてどのようにするかを、現在、悩んでいるとのことでした。